コールセンターとコンタクトセンター業界の現状と課題、人工知能やチャットボットによるIT活用の可能性

コールセンターの業務

製造業やサービス業などの企業には、顧客からの問い合わせに電話で対応をするコールセンターがあります。社内に設置するインハウス型もありますが、多くの企業は運用コスト削減のため外部の会社にアウトソーシングしています。

コールセンターの問い合わせ窓口の業務を「インバウンドコール」、営業や勧誘の業務を「アウトバウンドコール」といいます。メール、FAX、チャットなど、幅広いコミュニケーションで対応する総合的なコールセンターは「コンタクトセンター」と呼ばれます。

コールセンター/コンタクトセンターの目的は、顧客とのリレーションシップの構築です。まさに、CRM(Customer Relationship Management)のフロントラインの役割を果たすのがコールセンターなのです。

マーケティングでは「1:5の法則」といわれますが、一般に、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する5倍のコストがかかります。つまり、獲得した顧客に継続的な購入や利用を促し、ロイヤルティを高めることが重要です。その点、顧客接点となるコールセンターに求められている役割は極めて大きいといえます。

コールセンター業界の構造

コールセンター業界全体を展望してみると、2015年度、主要49社の売上高は7,308億4,000万円になっています。(『2015年度 テレマーケティング・アウトソーシング企業 実態調査』一般社団法人日本コールセンター協会)。業界全体では1兆円を超える、一大産業といえるでしょう。

続いて従業員の構成比率をみると、正社員に比べ、契約社員やパート・アルバイトが多いことがよくわかります。正社員が「いない」を含めて、正社員が2割未満と回答した企業が49社中32社、つまり全体の65.3%を占め、契約社員やパート、アルバイトの構成比が高い傾向にあります。

コールセンターにおける正社員・契約社員・パートの従業員割合

消費者からの問い合わせを受けるために頭数が求められるオペレーターは、主に契約社員やパート、アルバイトで構成されています。その上で、オペレーターの管理や育成を担当するスーパーバイザーは正社員が担います。

ちょうどピラミッドのように頂点にスーパーバイザーがいて、底辺を多数のオペレーターで支えている構造になっています。

「離職率9割」の実情、なぜオペレーターは辞めるのか?

コールセンターは、従来から離職率の高さが問題視されてきました。「離職率9割」という衝撃的な数字を掲げている書籍があります。朝日新聞社の記者、仲村和代氏による『ルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場から』(朝日新聞出版、2015年10月20日発売)です。

この本ではクレーム対応によるストレスを離職の原因として挙げるとともに、業界の構造や雇用の問題にも言及しています。

ストレスを抱えたオペレーター

離職率が高い理由には、きついクレーム電話をかけてくる顧客に対するストレスもあるでしょう。しかし、無期労働契約(正社員)と、有期労働契約(契約社員・パート・アルバイト)の従業員比率の偏りも一因にあります。なぜなら有期労働契約の場合、契約が更新されず離職となることも多いためです。

従業員の構成比率の約8割を契約社員、パート、アルバイトが占めるため、契約終了時の入れ替わりが激しく、オペレーターの定着率が下がります。定着率が下がると業務内容は引き継ぎ可能なマニュアル作業に限定され、オペレーターの裁量(自由度)はなくなります。結果として、低賃金でモチベーションも下がりやすく、サービスの質を維持できなくなるスパイラルに陥りがちです。

一方で、人工知能のめざましい発展も業界に衝撃を与えています。

2013年、英国オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授と研究員は『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文で、人工知能の発展は人間の職業を奪うと主張。センセーションを巻き起こしました。

この論文では、アメリカ労働省のデータに基づいて、702の職種から人工知能に置き換えられる職業をリストアップしました。人工知能に仕事を奪われる職業には「コールセンターのオペレーター」「電話営業員」も含まれています(参考:『10年後になくなる仕事、残る仕事 あなたの仕事は?』日経WOMAN、2015年8月10日)http://style.nikkei.com/article/DGXMZO89795300X20C15A7000000

オペレーターの応対内容がマニュアル化し、ますます単純化されていくとすれば、その一部は人工知能に置き換えられるのではないかとの指摘です。

ITと共存により、コールセンターは変わる

実は、コールセンターのIT化は現在に始まったことではありません。VoIP(Voice over Internet Protocol)やSIP(Session Initiation Protocol)というインターネット上で音声をやりとりする通信技術で、複数端末の管理とコスト削減に対する取り組みがコールセンターのIT化の始まりでした。

問い合わせの電話で「業務改善のために、この通話は記録させていただきます」というメッセージを聞いたことがあるかもしれません。VOC(Voice of Customer)という考え方から、顧客の声をサービス改善や商品開発に役立てています。

最近では、チャットボットによる効率的な運用が注目を集めています。チャットアプリの利用者が増え、機械学習などの技術が発展したことから自動応答によるコールセンター業務の効率化への期待が高まっています。

とはいえ、すべての業務を情報システムに任せるべきではありません。大切な顧客には専任の担当者による対応、FAQなどパターン化された回答は自動応答といった、システムと人間のハイブリッドなソリューションが有効です。

変わりつつあるコールセンター、最新事例

最後に、弊社の自動応答対応チャットサポートソリューション「モビエージェント」を導入されている、「笑顔・感謝・機知・機転」を信条に、コンタクトセンターを運営するディー・キュービック株式会社様の事例を見てみましょう。同社へのヒアリングから、チャットサポート導入メリットとして明らかになったポイントをご紹介します。

ディー・キュービック株式会社 ウェブサイトスクリーンショット

メールの問い合わせでは、必須項目の記入漏れなどにより複数回の往復やりとりが発生します。そのため、お客様が途中で離脱することにもなりかねません。また、電話の問い合わせでは、オペレーターが回答につまった場合、確認するために保留して顧客を待たせる時間が生じます。

しかし、チャットは即時性に優れるため、CVR(Conversion Rate:購入や資料請求など成果の指標)の改善につながります。また、チャット応対を続けながら、近くの上司に質問・確認した上で返信することも容易です。さらに応対の途中で別のオペレーターに応対を引き継ぐこともできます。仕事中や移動中、その他様々な事情で電話やメールで問い合わせができない顧客が、スマホから手軽に問い合わせできるため、顧客利便性や満足度が高くなりやすいのです。

https://youtu.be/gEejZEhHLpA

その他、みずほ銀行では、ソフトバンクのロボットPepperと、IBMの人工知能IBM Watson(ワトソン)を導入して、お客様との通話時間の短縮、オペレーターの育成時間の短縮で効果を上げました。無人対応も視野にいれているそうです。

チャットや人工知能を中心としたIT化によって、コールセンター/コンタクトセンターは現在まさに変化を遂げようとしています。

モビルス株式会社について

チャットボットによる自動応答を可能にする、コール/コンタクトセンター・顧客サポート向けチャットシステム「モビエージェント」を開発しています。

mobiagent.jpg

ボットによる「自動対応モード」とオペレータによる「有人対応モード」の切り替えも簡単。チャットボットに一次受け対応を任せることで、オペレータによる丁寧な二次対応も可能になるチャットツールです。

また、チャットボットは、顧客からの一時的なコール集中やオペレータの急な離席にも対応可能。「モビエージェント」の採用により、顧客満足度の向上、オペレータストレスの低減、放棄呼の削減や応対効率の改善が実現できます。

チャットシステムの導入検討や活用事例等についてご質問やご相談がありましたら、モビルスまでお気軽にお問い合わせください。

また、多国籍チームで新しいチャットシステムを開発するエンジニアの仲間も募集しておりますので、お気軽にご連絡の上、一度オフィスにも遊びに来てください。

著者プロフィール

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石井智宏
モビルス株式会社 代表取締役

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